2018年2月16日(金)よりH29年分個人所得税確定申告が始まります。
ご準備は進んでいますでしょうか。
ギリギリになるとミスやぬけが出る可能性がありますので、早めに処理することをお勧めいたします。
2月は確定申告シリーズとして何テーマか取り上げていきますので参考にしていただければ幸いです。
個人所得税確定申告のツボ
Part① 仮想通貨
★仮想通貨で儲けた時は 確定申告が必要です。(およそ20万円超)
①「儲けた」と認識されるタイミングは?
・仮想通貨を売却(日本円に換金)した。
・仮想通貨で商品を買った。
・仮想通貨で「他の仮想通貨」を買った。
・いわゆる「マイニング」(採掘)などにより仮想通貨を取得した。
②儲けの計算方法は?
(売却価格又は商品価格) - (仮想通貨の取得価額)
③取得価額って?
(1ビットコイン当たりの取得価額)×( その決済の際に支払ビットコイン数)
注)同一の仮想通貨を2回以上にわたって取得した場合は、移動平均法を用いるのが相当です。
(ただし継続して適用することを要件に、総平均法も認められます。)
【 移動平均法を用いた場合の1ビットコイン当たりの取得価額計算例 】
3月 9日 : 2,000,000円(支払手数料を含む。)で4ビットコインを購入した。
5月20日 : 0.2ビットコイン(支払手数料を含む。)を110,000円で売却した。
9月28日 : 155,000円の商品購入に0.3ビットコイン(支払手数料を含む。)を支払った。
11月 2日 : 他の仮想通貨購入(決済時点における他の仮想通貨の時価600,000円)の決済に1ビットコイン(支払手数料を含む。)を支払った。
11月30日 : 1,600,000円(支払手数料を含む。)で2ビットコインを購入した。
上記(例)の場合、
1ビットコイン当たりの取得価額は、
3月9日時点で500,000円、11月30日時点で633,334円です。
~計算方法は以下の通り~
○3月9日に取得した分の1ビットコイン当たりの取得価額
2,000,000円÷4BTC=500,000円/BTC
~3月10日から11月30日までの間に1.5BTCを売却又は使用~
○11月30日の購入直前において保有しているビットコインの簿価
【この時点での1ビットコイン当たりの取得価額】×【この時点で保有しているビットコイン】
500,000円 × (4BTC-1.5BTC) =1,250,000円
~11月30日に2BTCを購入~
○11月30日の購入直後における1ビットコイン当たりの取得価額
【この時点での保有しているビットコインの簿価の総額】÷【この時点で保有しているビットコイン】
(1,250,000円+1,600,000円) ÷ (2.5BTC+2BTC) =633,334円
※取得価額の計算上発生する1円未満の端数は、切り上げして差し支えありません。
④所得の種類は?
原則、雑所得になります。
例外としては、事業所得者が事業用資産としてビットコインを保有し、決済手段とて使用している場合は、事業に付随して生じた所得と考えられますので事業所得となります。
また、いわゆる「マイニング」(採掘)などにより仮想通貨を取得した場合、その所得は、事業所得又は雑所得の対象となります。
⑤儲からずに損した時は?
残念ながら、雑所得の金額の計算上生じた損失については、雑所得以外の他の所得と通算できません。
⑥仮想通貨の証拠金取引は申告不要?
仮想通貨の証拠金取引による所得については、申告分離課税の適用はありませんので、総合課税による申告が必要です。
(税率20.315%の分離課税ではなく、最高税率55.945%の累進課税になります。)
※この税率は所得税+地方税+復興特別所得税の合計で表示しています
⑦申告不要の特例は無いの?
<給与所得者の場合>
⑴給与を1か所のみから受けている場合
給与の収入金額が年間合計2,000万円以下で、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除き、仮想通貨の所得を含む)の合計額が20万円以下
⑵給与を2か所以上から受けている場合
主たる1社の給与は年末調整を受けており、各種の所得金額(主たる1社の給与所得、退職所得を除き、仮想通貨の所得を含む)の合計額が20万円以下
→上記の場合は確定申告義務がありません。
つまり、29年中の収入が
- 給与所得は1社だけで、年末調整済み
- 雑所得などの給与以外の所得が 合計20 万円以下
ならば確定申告は不要です。
※ただし、下記の注2、注3の場合は申告が必要です。
注1)「各種の所得」には、通常の事業所得や不動産所得のほかに、譲渡や一時、雑などの全ての種類の所得を含みます。ちなみに「証券会社で、源泉税無しの特定口座や一般口座取引が在る」場合や、「源泉分離課税以外」の投資信託や外貨取引や利子所得が在る場合、貸室や駐車場賃貸等の小規模の不動産所得なども含まれます。
注2)申告義務が無い場合でも、医療費控除や住宅ローン控除、ふるさと納税などの適用を受けるために確定申告をする場合には、20万円以下であっても、仮想通貨等による所得も同時に申告する必要があります。
注3)同族会社の役員やその親族が、その会社から、貸付金利子や不動産賃貸料やその他使用料等の支払いを受けている場合は、たとえ給与以外の所得が20万円以下であっても給与以外の所得も含めて確定申告する必要があります。(所法121条①)
仮想通貨は今話題になっていますね。
少額の買い増しや売買をされている方が多いと思いますので、取得価格がいくらなのかを都度計算しておくと、確定申告の時に慌てずに済むと思います。
次回は医療費についてです!お楽しみに♪
参考資料:
個人課税課情報第4号「仮想通貨に関する所得の計算方法等について」(国税庁HP)(平成29年12月1日)