飲食店のマイナンバー対策

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大量の年金情報を漏えいさせたばかりの2015年からマイナンバーを導入するのは時期尚早ではないか? というもっともな意見も在りますが、既に法律が出来ているので、延期や法改正がされない限り、2016年1月からマイナンバーの利用が義務付けられています。

 

 飲食店は仕事柄、従業員さんの人数が多く、短期間で入れ替わることも多い。

 → マイナンバーの事務や管理の負担も大きい!!

 めんどうくさくても やらねばならぬなら 仕方ない。

 

知らなかったり、準備不足のために、高い授業料を払わずに済むように、マイナンバー対策をしましょう。

 

 1 ≪ いつから? ≫

 27年10月からマイナンバーの通知(住民票の住所に届く)が始まり、平成28年1月1日から利用開始!

 

MM 対 策 

①     現在の従業員さん は年末調整(今年の11月~12月頃)の際に書く「平成28年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」にマイナンバーを記入してもらいましょう。

ただし、昨年の様に「11月末日までに、総務の机の上のトレイに提出する」ことにすると、近くを通りかかった人が誰でも簡単に番号を見ることが出来るので、安全管理措置不足となります。

管理者がいる時に、直接手渡す。封筒に入れるとか裏向けで重ねるとか投票箱や郵便ポストの様に見えなくする工夫が必要です。

給与事務に関わる人以外の目につくことのない、鍵のかかる(引出し、ロッカー、金庫など安全に管理される)場所に保管することが必要です。

 年の途中で退職された場合、確認しにくくなると思われますので、今年はきっちりとやりきりましょう!

 

②     途中入社の場合

入社が決まった時点、給与の振込口座や交通費などの確認をする時に、マイナンバーも記入した「平成28年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してもらいましょう。

アルバイトさんが3日で来なくなった場合、後で困るので、タイミング良く、書いてもらいましょう!

 

 【ポイント解説】 

 外国籍の人でも市区町村に住民登録をしていれば、「マイナンバー」が通知されます。

逆に、外国に住民票を移していたり、転居等で、住民票の届け出住所と現住所が異なっている場合は、日本国籍の人でもマイナンバーは届きません。

 

 MM 対 策 今すぐ やること!!

 従業員さんに、現住所と住民票住所が違う人がいたら、早急にきちんと住民登録をするように伝えましょう。

 仕事の都合で、短期間に引っ越しを繰り返したり、10月頃に転居予定の場合は、会社がまとめて請求するか、実家に住民票を移しておく方が無難かもしれません。

 

海外財産については、「国外財産調書」とBEPS(国際的な税源浸食と利益移転)の租税条約を利用して。

国内財産については、「財産及び債務の明細書」を改正で調書に格上げして、課税当局はとにかく情報収集に勤しんでいます。

課税できるかどうかはともかく、実態情報を収集する。

所得税で過少申告が発生した場合、その財産が調書に記載されていたら加算税が5%安く;無ければ5%高く

相続税では重加算税の適用も視野に入っているようです。

ついうっかりの代償が どんどん高くなっていくようです。

近未来では、アメリカのグリーンカードの様な使われ方になるのかもしれません。

                       

 扶養控除一覧表

さらに 国税庁が発表している 国税分野におけるFAQ から 重要なポイントを チェック !!

 

2 ≪ 番号法の罰則は? ≫

Q6‐6 従業員等の個人番号が記載された給与所得の扶養控除等申告書などの漏えいがあった場合、担当者や企業は罰せられるのですか?

 

(答)個人番号が漏えいした場合の罰則の適用は故意犯を想定したものとなっており、事業者が従業員の指導等の一定の安全管理措置を講じていれば、意図せずに個人番号が漏えいしたとしても、直ちに罰則の適用となることはないとされています。

なお、個人番号を取り扱う者が正当な理由なく故意に個人番号を含む情報を漏えいさせた場合には、刑事罰が科されることとなります。

 

 MM 対 策 

 きちんと対策をしていれば、罰せられないけれど、故意に漏洩させた場合は、

最高4年以下の懲役や200万円以下の罰金またはその両方といった刑事罰が規定されています。

しかも犯人だけでなく勤務先の法人に対しても、同様の罰金刑が科されます・・・・・・。

 

結局、「一定の安全管理措置」って どうすれば良いの??

 

特定個人情報保護委員会 が 詳しい ガイドライン を出しています。

特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)(本文及び(別添)特定個人情報に関する安全管理措置)  

 

 

 でも これは大企業向きで、ちょっと難しいので 

MM 対 策 

1、       従業員さんに、マイナンバーの教育と指導をする。

①   社会保障や税金に関して、マイナンバーが義務付けられたこと

②   社会保障・税金・災害対策以外の目的でマイナンバーを使ったり、漏洩したら、刑事罰が科せられる。

③   管理責任者以外の目に触れないように、大切に扱いましょう

というような内容を きちんと告知する。

小冊子 http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/download/leaflet.pdf 

や ●ポイント資料(PDF:2.26MB)   
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/download/checklist.pdf
を配って読み合わせをしたり、  動画でみるマイナンバー(一般の方向け) 約15分の動画を観る。

 

2、       管理する。

先ず、管理責任者を決めて

①   紙の書類 上記の「扶養控除等(異動)申告書」や個人番号カード等のコピーなど

事務に関わる人以外の目につくことのない、鍵のかかる(引出し、ロッカー、金庫など安全に管理出来る)場所に保管すること。

②   コンピューターのデータ

年末調整のソフトや給与管理ソフト、自分で作ったExcelのファイルなどのマイナンバーの情報を含んだデータやプログラムは、管理者以外の人が見れないように、パスワードなどで保護する。

ちなみに、TKCのPXを利用すると安心だそうです。

3、       廃棄する。

不要になったら、きちんと廃棄する。

廃棄するルールを決めて、廃棄した記録を残す。

  *これは未だ誰もやったことが無いので、どうするのがベストか 良くわかりません。

   直ぐに廃棄して、必要がある毎に何度もマイナンバーを見せてもらうのも迷惑でしょうし、年末調整の書類を金庫に保管するのも大変だと思います。チェックリスト1枚紙(両面刷り)(PDF:469KB)
   を使って、漏れが無いか確認してみましょう! 

 

3 ≪ 収集や漏洩に罰則が在るなら、いっそのこと、マイナンバー使わなかったら良いのでは? ≫

 

Q2-3-3 申告書等を税務署等に提出する際、個人番号・法人番号の記載がない場合や誤りがある場合に罰則の適用はあるのですか?

 

(答)申告書や法定調書等の税務関係書類を税務署等に提出する際に、個人番号・法人番号を記載しなかった場合や誤りがあった場合の罰則規定は、税法上設けられておりませんが、個人番号・法人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務ですので、正確に記載した上で提出をしてください。

 

4 ≪ 従業員さんとか 取引先とか 家主のおっちゃんとか 「イヤ!」 とか言いそう、、、。 ≫

 

Q2‐10 従業員や講演料等の支払先等から個人番号の提供を受けられない場合、どのように対応すればいいですか?

 

(答)法定調書作成などに際し、個人番号の提供を受けられない場合でも、安易に個人番号を記載しないで書類を提出せず、個人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務であることを伝え、提供を求めてください。

それでもなお、提供を受けられない場合は、提供を求めた経過等を記録、保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておいてください。

経過等の記録がなければ、個人番号の提供を受けていないのか、あるいは提供を受けたのに紛失したのかが判別できません。特定個人情報保護の観点からも、経過等の記録をお願いします。

なお、法定調書などの記載対象となっている方全てが個人番号をお持ちとは限らず、そのような場合は個人番号を記載することはできませんので、個人番号の記載がないことをもって、税務署が書類を受理しないということはありません。

 

 ダメ とは言わないけど 何かと うるさそうな 雰囲気が、、、。

MM 対 策  

 現時点では未だ、税法上の罰則規定は決められていません。 「きちんとやりましょう!」とかです。

しかし、銀行には、税と年金に使われる銀行口座へのマイナンバー登録が義務付けられおり、それ以外の口座の管理も、3年先くらいには出来るように準備しなさいと 命令されているようです。それ以外にも、いろいろな場面で、マイナンバーが義務付けられそうです。(医療費控除が自動的に出来るように、医療機関にもマイナンバーを、、、とか)

 そして現時点でも、特定情報保護委員会の命令に違反した場合や委員会に対して虚偽の報告をした場合には刑事罰が用意されています。

 委員会から改善命令を出されても改善しない会社は、刑事罰の対象になるということです。

結論

 どうせ3年後くらいには規制されるだろうから、今から出来ることはきちんと対処しておいた方が無難でしょう。100%は出来なくても、「ええ線まで出来てるでしょう!」と言えるくらいには頑張りましょう!

 

5 ≪マイナンバーを集める時の 本人確認の方法について≫

  以下の告示や内閣官房発表により、本人確認の方法が細かく説明(指示?)されています。

国税庁告示>行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行規則に基づく国税関係手続に係る個人番号利用事務実施者が適当と認める書類等を定める件

国税分野における > 番号法に基づく本人確認方法  (【事業者向け】平成27年3月 国税庁)

 

 当局の推奨は、個人番号カードを利用した「例1対面で個人番号の提供を受ける場合の本人確認①」のようですが、実務的には、永年勤続社員の場合は、「例6知覚による身元確認」が有効な様です。

[ 例6 知覚による身元(実在)確認 ]

 従業員が勤務先に給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出する際に、勤務先のとりまとめ担当者が知覚により従業員の身元(実在)確認を行う方法

【ポイント解説】

・ 国税太郎さんの場合、採用時などに番号法や税法で定めるもの(所得税法第224 条第2 項等)又は国税庁告示で定めるものと同程度の本人確認書類(運転免許証、写真付き学生証等)による確認を行っている必要があります。

・ 従業員の国税太郎さんは、自宅で妻(控除対象配偶者)である国税花子さんの通知カードにより個人番号を把握(確認)します。国税花子さんは国税太郎さんの配偶者であり「知覚」(見て判断)することにより本人に相違ないことが判断できますので、国税花子さんから身元(実在)確認書類の提示を求める必要はありません。

・ 日頃から国税太郎さんと同じ部署で仕事をしているとりまとめ担当者は、入社時に国税太郎さんの本人確認をしていることから、「知覚」(見て判断)することにより本人に相違ないことが判断できますので、国税太郎さんから身元(実在)確認書類の提示を求める必要はありません。

なお、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書には、国税太郎さんと国税花子さんの個人番号が記載されていますが、国税花子さんの個人番号は国税太郎さんが自宅で確認済ですので、とりまとめ担当者は、国税太郎さんの通知カードの提示等により国税太郎さんの個人番号のみ確認します。

 

 文字で読んでも 意味が良くわからないかもしれませんが、、、。

MM 対 策 

 従業員さんは、過去(採用時等)に運転免許証などで本人確認をしていれば、今回改めて本人確認書類は必要ない。また扶養家族については、本人が家族の個人番号を記入した書類(「扶養等異動申告書」等)を受取り、担当者は従業員本人の個人番号のみを「通知カード」と照合すれば、家族の通知カード等の確認は不要とのこと。

国税分野における番号法に基づく本人確認方法(PDF/3835KB) – 内閣官房

平成27年6月22日に 内閣官房  年金保険料の徴収体制強化等のための検討チーム より

アクションプログラムの報告書が発表されています。

 

ご参考まで

マイナンバー制度の活用等による年金保険料・税に係る利便性向上等に関するアクションプログラム(報告書)

 

【別紙2】アクションプログラムの概要

 

【別紙3】アクションプログラム(具体的施策の内容)

 

アクションプログラムのポイント(具体的施策のメリット・効果)

 

ライフステージ別事例集(イメージ)

 

この記事は平成27年6月30日現在の法令等に基づいて書いています。

新たに法令改正等が行われた場合は、新法を適用戴きますよう お願い申し上げます。

なお、内閣官房、国税庁等へのリンクにつきましては、掲載時点ではリンクを確認しておりますが、日本の官公庁のHPは突然削除されたり、アドレスが変更されてアクセス出来なくなることが良くあります。その節は恐れ入りますが、何卒ご容赦願いますよう お願い申し上げます。