平成30年から配偶者特別控除が変わります。
全国の配偶者控除もしくは特別控除を受けている1072万人の皆様!!
どうしたら良いか? お困りの方も多いかと存じます。
今回は、世帯主の所得が900万円(給与収入1120万円)以下の場合を中心にお話しします。(『H28民間給与実態統計調査』によると、年間給与1000万円以下の人が男性の93%以上なので)
尚、本文では便宜上、主な稼ぎ手である世帯主を「夫」、配偶者を「妻」として話を進めます。 逆の場合は夫を妻に、妻を夫に読み換えて戴きますようお願いします。
①平成29年まで 給与収入103万円超~141万円未満だった配偶者特別控除の壁が平成30年から 給与収入150万円超~201万円未満に改正になりました。(70歳以上の老人加算10万円は、103万円以下のままです)
国税庁パンフレットより 平成30年分以降の配偶者控除及び配偶者特別控除の取扱いについて(毎月(日)の源泉徴収のしかた)(PDF/414KB) (事業者向け)
Lucky!! 非課税ワクが月4万円弱増えた! 妻もがんばるぞ~!?
ちょっと待って下さい!!
配偶者特別控除を満額受けられる年収の上限は150万円まで増えました。
しかしながら・・・
②市県民税の壁は?
配偶者の場合、年収100万円を超えるとの市県民税の均等割約5,800円や所得割10%が課税されます。
(市町村によっては、93万円や97万円の場合も在りますのでご注意ください)
③妻自身の個人所得税の壁は?
今まで通り、収入から給与所得控除や生命保険料控除などと基礎控除38万円を引いた所得に対して課税されます。
(つまり収入が103万円超えたら、妻本人にも税金が掛かるってこと。)
④そして社会保険の壁は
いわゆる130万円未満の壁ですが・・・
平成28年10月から、事業所の規模が従業員500人以下か501人以上かで取り扱いが変わりました。
妻が、従業員501人以上規模の事業所で働いている場合
- 週20時間以上の労働(1日の所定労働時間が8時間、週休2日の場合)
- 月額賃金88,000円以上(年収106万円以上(交通費含む))。
- 1年以上勤務する見通しである。
- 学生以外
の4つの条件にあてはまると、社会保険・厚生年金に加入しなければなりません。
☞ つまり、妻のパート先が大きな会社だと、106万円未満の壁が出来ています。
一方、500人以下の事業所の場合は、今まで通り130万円未満の壁です。
この社会保険加入による妻の負担額は、交通費等、標準報酬額にもよりますが、
およそ月額16,506円~ =年間198千円~くらい増えます。
(~は通勤交通費も加算した給与が年間130万円以上になれば、標準報酬月額表の通りの保険料が徴収されます。(給与等の約15%くらいの金額です)
試算
もし時給が1,000円と仮定してシミュレーションしてみると
年収100万円以下の場合は、毎月 83時間働いて、83,000円の手取り年収155万円以上を目指すと
毎月130時間働いて、社保年金や源泉所得税を控除すると、手取り約105,500円
でも夫の手取りも減るので・・・
(月給40万円の場合、扶養の数が2人→1人になると、税額3230円増=手取り減です。)
40時間多く働いて手取りが2万円も増えないなんて、、、、トホホホホ・・・
もう少し 優遇してもらえないと・・・・という声が聞こえてきそうですね。
結局、130万円未満の社保の壁を超えない範囲が無難そうですね?!
(*501人以上の事業所にお勤めの妻は、社保の壁は106万円です。)
(**妻の100万円の壁を超えた分の金額には、地方税10%と均等割り5,800円、103万円の壁を超えた部分には所得税等5.105%の税金がかかりますが、手取りも増えていきます)
夫婦の手取り合計額推移表
(夫の給与年収521万円で妻が501人以下の会社に勤めており、扶養親族1人、生命保険料等控除合計5万円の平均的な家庭の場合)
社会保険料等130万円の壁の為に、40歳以上の妻が年収129万999円の場合と153万円まで働かれた場合の世帯の手取り金額はほぼ同じになります。
(交通費や賞与の金額によっても変化しますので、あくまで概算です。)
(妻の年金が3号被保険者から、厚生年金加入者に変ると、将来の年金が少し増えるかもしれません)
もうひとつ ふたつ 重要なことが・・・
- 夫の会社から「配偶者手当」等が支給されている場合
会社によって支給基準が異なりますので要注意です。
妻の収入が103万円以下とか130万円未満を要件にされている会社が多いようです。
妻の月収が1万円増えたために、夫の手当てが1万円カットされたという笑い話のような笑えない話にならない様、確認願います。
(夫の会社から、遡及して手当の返還を請求された事例も在ります。)
New!
- 最近噂の 月額108,000円の壁
上記④の社会保険の壁ですが、会社によって、年間ではなく月々で判定する場合も増えているようです。
月額で(給与+通勤交通費)が108,000又は108,333円を超えた場合には、健康保険等の扶養対象から外れる。というものです。
“常態”になっているという条件がありますので、1カ月だけで認定されることはないと思われますが、繁忙期に2~3カ月連続で超えていると、認定される場合が在ります。
そして恐ろしいことに遡って適用される事もあります。
具体的には
扶養手当の返還請求・・・・1年分纏めて12万円返金とか
別途に健康保険料の支払い義務が遡って出来たり、
健康保険証を使って治療を受けていた場合、、、治療費の社会保険負担(総額の7割とか)部分の返金、、、、、恐ろしいですね。
ということで、世帯主の方の会社の総務や保険組合によって取り扱いが異なりますが、
配偶者控除ぎりぎりまで働かれている方は、月額108,000円の壁にもお気を付けくださいませ。
・源泉所得税の改正のあらまし(平成29年4月)(PDF/4,065KB) (詳細版)
・平成30年分以降の配偶者控除及び配偶者特別控除の取扱いについて(PDF/252KB) (給与所得者向け)
夫の所得が多い場合
ちなみに夫の合計所得が900万円(給与収入1,120万円)を超え、1000万円(給与収入1220万円)以下の場合は、下記のように配偶者特別控除額が減額されます。
そして
合計所得1,000万円(給与収入1,220万円)を超える夫は、
配偶者控除も配偶者特別控除も適用されません。
(ただし、妻が障害者で所得38万円以下の場合は、同一生計配偶者として、障害者控除は適用されます。)